セイレーン(Bing Image Creator)


歌を忘れたわけではないの
春が来ないから歌わないの
夢の底ふかく雨音が流れる
つぼみ開く日を待ちわびて

夜の闇ふかく子守歌を抱き
降る星と波に身をゆだねて
渡り鳥やすむ河のほとりで
しずかに芽吹き凍てつかず

歌を忘れたわけではないの
春が来るから迎えにいくの
いま風の花の香をまとって


( 2023.7.5 Twitter より )
( 2023.7.4 イラスト作成 Bing Image Creator )


セイレーン – あかり窓 (memoru-merumo.com)

セイレーン – こちら、ドワーフ・プラネット (downadown.com)


いばらで囲われた蚕の宮


>先蚕儀礼

>経書に記載されている周代の儀礼のあり方

>古者天子諸侯,必宥公桑欝室,近川而為之,築宮初有三尺,棘薔而外閉之。(古えの天子諸侯は,必ず公桑,蚕室を持っており,川の近くにこれを作って,一刃三尺の宮を築き,いばらで囲い,外からこれを閉ざした。)『礼記』巻14「祭義」

つくばリポジトリ (nii.ac.jp)
「先蚕儀礼と中国の蚕神信仰 新城理恵※」より上記引用

※筑波大学大学院歴史・人類学研究科
(『比較民俗研究』4.1991/9 )p.10

※※出典の活字(いばら=棘薔)の薔の字の片偏がPCで出ないので、「薔」で代用


古代中国では養蚕が推奨され、
宮中儀礼で蚕・桑・絹が重要視された。
「天子の蚕室は川辺に築かれ、
いばらで囲われ、外から閉ざされた」
という古代の文献の記述から、
西欧の「茨姫」伝承を想起するのは
私だけだろうか?
シルクロード交易において、
絹は珍重されたが、
製法(蚕)は秘密だったという。

西欧・地中海文明の
貝紫(染料)やレースグラスの製法も
秘密にされた歴史がある。
交易品の製法が時の権力者によって
独占された例は、洋の東西を問わない。
貴重な特産物の知識・技術に伴う
ロマンティックな付加価値としての
「古代異国王朝の祭祀・儀礼」伝聞。
その名残りが西欧において
「茨姫」の不思議な伝承として、
民間でも物語られたのでは?
……と、夢想。


( 2023.6.15 Twitter より )


シルク幻想 – ぶるーまーぶる (fairy-scope.com)


三ツ星は灯る


チグリスを漕ぎ出て
ナイルをわたり
インダスの谷間ぬけ
長江のほとり

あおぐ天の川ひとすじ
すべてにそそぐ星の雨
舞い姫は春をよび
織り姫は時つむぐ 

三度の眠りから覚め
繭やぶり生まれかわり
はばたく夢の羽音
めぐる機のリズム 

季節の旅人をさそい
舟歌ゆらす波
ここに安らえと

三ツ星は灯る
夜明けまでしばし
ここに安らえと


( 2023.6.14 & 6.27 Twitter より 推敲加筆 )
( 2023.6.13 イラスト作成 Microsoft Bing Image Creator )

三ツ星は灯る(Bing Image Creator 2) – あかり窓 (memoru-merumo.com)