白鳥座のビジョン


KAGAYA「銀河鉄道の夜」を
プラネタリウムで幾度も観た。
冒頭のシーンで二羽の白鳥がはばたき、
一羽が水に飛び込む。
「水=天の川=カムパネルラが溺れた河」
があまりに自然で気づかなかったが
賢治の原作にはない。
KAGAYAさん独自の
解釈&イメージなのだった。
賢治の原作では「白鳥の停車場」とのみ。

賢治の原作は、
初期稿~第4次稿(最終稿)まで
何度も読んでいるけれど、
それでもKAGAYAさんのプラネタリウム作品の
冒頭シーン(二羽の白鳥)があまりに自然で
違和感を覚えなかった……
賢治原作に含まれなくても、
作品世界をより深める映像ゆえに。
(KAGAYAさん独自の「天の川の白鳥」像でありつつ)

そして確認したら、
プラネタリウムの映像は、
「一羽の白鳥」のみ登場するのだった……

(もう一羽は、十数年の時を経て、
私の記憶と夢想のはざまに生まれ、
はばたいている白鳥の影らしい)


ステファンヌ・マラルメ Stephane Mallarme 上田敏訳 白鳥 LE VIERGE (aozora.gr.jp)

ずっと好きだった詩を、
「白鳥=白鳥座」というイメージで
読み直してみた。
凍てた湖に映る星影……
羽根のない翼(星をつなぐ輪郭)
天の川(氷の粒の川)に
永遠に留められた幻影。

地上の生命と星座とを対比させて、
刹那と永遠とを
描いているのではなかろうか……と。

地や湖に捕らわれた白鳥の苦悶と、
天上の白鳥座の怜悧なきらめきと……

(地上に育った「かぐや姫」が
月の世界の住人だった、という
不思議な日本の古典と、どこか似ている感触)


( 2022.11.29 Twitter より )



(追記)>二羽の白鳥

宮澤賢治「春と修羅」の一篇「白い鳥」では
二羽の鳥が描かれている。
その影響かも……

異界の鳥 – レモン水 (ginmuru-meru.com)


(2022.12.2 Twitter より )


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