いばらで囲われた蚕の宮


>先蚕儀礼

>経書に記載されている周代の儀礼のあり方

>古者天子諸侯,必宥公桑欝室,近川而為之,築宮初有三尺,棘薔而外閉之。(古えの天子諸侯は,必ず公桑,蚕室を持っており,川の近くにこれを作って,一刃三尺の宮を築き,いばらで囲い,外からこれを閉ざした。)『礼記』巻14「祭義」

つくばリポジトリ (nii.ac.jp)
「先蚕儀礼と中国の蚕神信仰 新城理恵※」より上記引用

※筑波大学大学院歴史・人類学研究科
(『比較民俗研究』4.1991/9 )p.10

※※出典の活字(いばら=棘薔)の薔の字の片偏がPCで出ないので、「薔」で代用


古代中国では養蚕が推奨され、
宮中儀礼で蚕・桑・絹が重要視された。
「天子の蚕室は川辺に築かれ、
いばらで囲われ、外から閉ざされた」
という古代の文献の記述から、
西欧の「茨姫」伝承を想起するのは
私だけだろうか?
シルクロード交易において、
絹は珍重されたが、
製法(蚕)は秘密だったという。

西欧・地中海文明の
貝紫(染料)やレースグラスの製法も
秘密にされた歴史がある。
交易品の製法が時の権力者によって
独占された例は、洋の東西を問わない。
貴重な特産物の知識・技術に伴う
ロマンティックな付加価値としての
「古代異国王朝の祭祀・儀礼」伝聞。
その名残りが西欧において
「茨姫」の不思議な伝承として、
民間でも物語られたのでは?
……と、夢想。


( 2023.6.15 Twitter より )


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