紫之 名高浦之 愛子地 袖耳觸而 不寐香将成
(万葉集 作者未詳 巻七 一三九二)
紫(むらさき)の
名高(なたか)の浦(うら)の
真砂地(まなごつち)
袖のみ触れて
寝ずかなりなむ
「章太郎のファンタジーワールド ジュン」
に収められた短編「貝がらの音」を、
ふと想い出した万葉集の短歌。
浜辺の砂、袖のみ触れて……の表現は、
ジュンが腕を伸ばすと砂になってしまう
美少女(ビーナス)を彷彿とさせる。
イェイツの詩
「彷徨うアーンガスの歌」※の
逃げ去る妖精にも似ている。
※参照
夢の通ひ路 – あかり窓 (memoru-merumo.com)
( 2023.7.18 Twitter より )