なみのこもりうた(文案)


1.
わたしのたからもの、
うみべでひろったガラスのかけら、
まあるくてすべすべ、なみのいろ。
そっと てのひらにのせてねむると、
ざざぁんと しおさいがよせてきて、
すずしいめをした あのこにあえる。

あのこはいつも にじいろの
イソギンチャクにこしかけて、
リュートをかなで、
すんだこえで うたっているよ。

2.
おともだちと けんかしちゃって
ごめんね いえなかったひのよる、
まどのカーテンが ばたばたゆれ、
くらいへやは ふかいうみのそこ。

ゆらゆらおよぐ イジワルくらげ。
ハロウィンの ランプそっくりに
ぺかぺかひかって わらいながら、
みんなそろって むれてながれる。

3.
「ひかるぜ
 ビリビリ
 しびれるぜ

 そこのけ
 ユラユラ
 おとおりだ

 おれたちゃ
 きままな
 あばれんぼう

 いっしょに
 うみのそこで
 パーティしようぜ」

え?
いやです、くらいところ
きらいだもん。

4.
「おれたちのさそいを
ことわるだと?
なまいきなこどもめ、
どくのはりで
さしてやろうか?
おれさまはうみの
スズメバチだ!」

いやあだよ、あっかんべー。
まくらをかぶせて
ふんづけちゃえ!

5.
「あぶなーい!それは
ハチ、うみのならずもの。
ヒレにさわっちゃいけない、
にげて。

わたしはセルピナ、
すぐに たすけをよぶわ」

おおあわてのあのこが
ちいさなまきがいのふえを
ちからいっぱいふいた。

6.
「よんだかい?

おいらはクリルン。
ほいきた、まかせろ」

7.
げんきなおとこのこが
ひかるつえを かざすと、
ピカピカの いなびかり。
あばれんぼうたちが
うごけなくなるまで
グルグルまきにしばった。

おとこのこがさけんだ。
「セルピナさん、こいつらを
ふくろにすいこんで!」

8.
「わかったわ、クリルンくん」
あのこがうなずくと、
にじいろのイソギンチャクが
おおきなくちをあけて、
あばれんぼうたちを
つぎつぎ みなすいこんだ。
クラゲもエイも こわいハチも
みえなくなった。

9.
イソギンチャクのふくろが
ふしぎなひかりでつつまれると、
ただようマリンスノーに
ゆっくりとかわっていく。

「うみのそこにしずんで ねむり、
また あたらしい ゆめになるね」
と、クリルンくんがいった。

10.
「おやすみ、ゆめのかけら」
と、セルピナさんがささやいた。

11.
わたしのたからもの、
うみべでひろったガラスのかけら、
まあるくてすべすべ、なみのいろ。
そっと てのひらにのせてねむると、
ざざぁんと しおさいがよせてきて、
すずしいめをした あのこにあえる。

あのこはいつも にじいろの
イソギンチャクにこしかけて、
リュートをかなで、
すんだこえで うたっているよ。

12.
ねむれ ねむれ
どんなふかい
なみのそこも
てらすあかりが
ここに
ここにあるから

ねむれ ねむれ
どんなかなしい
なみだもいやす
ゆめのあかりが
ここに
ここにあるから

くらいかげも
こえも
かたいきばや
とげも
きみをなかせる
ものは
ここにいないから

ねむれ ねむれ
きみのつめたい
なみだをとかす
ゆめのあかりが
ここに
ここに ほら
あるよ


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