きらりと冷涼


アカトンボが
つれだって
輪を描きながら
とんでいた。

子どもの頃、
谷川を飛行する
イトトンボやカワトンボの
美しさに魅了されてたっけ。
いろんな色の羽根で
ついついと軽やかに風をわたる
メタリックな輝き……
澄んだ空気の精のように。

薄紫のヤブランが咲いていた、
もう秋なんだな。

台風の進路が気になる。
ふきぬける風に
木の葉がまいおどる。
いちめんのヤブラン……

宮沢賢治 銀河鉄道の夜 (aozora.gr.jp)
「月長石ででも刻きざまれたような、すばらしい紫のりんどうの花が咲いていました」
「もう次から次から、たくさんのきいろな底をもったりんどうの花のコップが、湧くように、雨のように」

シラーの青びかり、
柔らかな半透明、
銀河を彩る秋の花。

湧くように、雨のように……

この表現、月長石の
柔らかなシラー効果の青びかりが
目に浮かぶ。
賢治は、シラー効果のある石が
好きだったのかな?

そういえば、風の又三郎は
ちょうど今頃の童話だった。
風の精の
ガラスのマント、
谷川や草原を吹きわたる
きらりと冷涼な、秋風や日光。


( 2021.8.24~9.13 Twitter より)