今か咲くらむ山吹の花


(万葉集)

河津鳴 甘南備河尓 陰所見<而> 今香開良武 山振乃花
かはづ鳴く神奈備川に影見えて今か咲くらむ山吹の花
かはづなく かむなびかはに かげみえて いまかさくらむ やまぶきのはな
( 第8巻 1435番 厚見王 )

万葉集 第8巻 1435番歌/作者・原文・時代・歌・訳 | 万葉集ナビ (manyoshu-japan.com)


古来、山吹は鏡草と呼ばれた。
離れて暮らす恋人同士が、
互いの想いを映す鏡を持ち寄り、
埋めた場所から山吹が咲いた、
という伝承による。
面影草ともいう。
水面に影を映す山吹の花が今頃
咲いているだろうか
と問う万葉集の和歌には、
鏡草・面影草のイメージが
織り込まれているのだろう。


山のくちなし – ぶるーまーぶる (fairy-scope.com)


ピピルナさん


セルピナさんの眷属で、妹分。

「ひひる」は蛾の和名で古語だという。
古代日本語は、ヒをピと発音したはず、
ゆえに蛾(蚕の成虫を含む)=ピピル?

蛾(古代日本では蝶と蛾の区別なし)を
「かわひらこ」と呼称したともいうし、
ヒヒル(ピピル)の語感もなんとなく
可愛らしいような……

海のセルピナさんに羽をつけて、
空を舞う豊穣のピピルナさん……
などと、イラストを描きつつ夢想。

(灯を持つ妖精さんのつもりが何故か
銅鐸っぽい物に変わってしまった……)
(輝く赤銅のベルを鳴らす妖精さん?)
(蛾と月の乙女……)

(銅鐸には蛙や蛇が刻まれていた例も)
(豊穣の雷神・水神=暴風雨神と
銅鐸との繋がりは?)
(ピピルナさんが鳴らす鐘で、
雷神クリルンくんが竜とともに現れる)
(カエルや案山子などが登場する夢?)
(暴れん坊の大ナマズを封印する)


羽化セルピナと灯イメージ


ざっくりスケッチブックに鉛筆描き。
人物の形も難しいけど、左右の羽が
歪んでしまう……羽だけ別に描いて、
組み合わせてみようかな?


ペイント3Dライブラリの蝶トレース、
試しに背負わせてみた。
羽の形のイメージちょっと違う、
もっとふわっとした感じがいい……
墨絵っぽくしたいな。

( 2024.3.16 )


ざっくり色をつけてみた。
もっと怪しく野生っぽくしたい……
昔々からいる妖怪とか妖精みたいに。

( 2024.3.19 )


なみのこもりうた


わたしのたからもの、
うみべでひろったガラスのかけら、
まあるくてすべすべ、なみのいろ。
そっと てのひらにのせてねむると、
ざざぁんと しおさいがよせてきて、
すずしいめをした あのこにあえる。

あのこはいつも にじいろの
イソギンチャクにこしかけて、
リュートをかなで、
すんだこえで うたっているよ。


おともだちと けんかしちゃって
ごめんね いえなかったひのよる、
まどのカーテンが ばたばたゆれ、
くらいへやは ふかいうみのそこ。

ゆらゆらおよぐ イジワルくらげ。
ハロウィンの ランプそっくりに
ぺかぺかひかって わらいながら、
みんなそろって むれてながれる。


「ひかるぜ
 ビリビリ
 しびれるぜ

 そこのけ
 ユラユラ
 おとおりだ

 おれたちゃ
 きままな
 あばれんぼう

 いっしょに
 うみのそこで
 パーティしようぜ」

え?
いやです、くらいところ
きらいだもん。


「おれたちのさそいを
ことわるだと?
なまいきな こどもめ、
どくのはりで
さしてやろうか?
おれさまは うみの
スズメバチだ!」

いやあだよ、あっかんべー。
まくらをかぶせて
ふんづけちゃえ!


「あぶなーい!それは
ハチ、うみのならずもの。
ヒレにさわっちゃいけない、
にげて。

わたしはセルピナ、
すぐに たすけをよぶわ」

おおあわての あのこが、
ちいさなまきがいの ふえを
ちからいっぱい ふいた。


「よんだかい?

おいらはクリルン。
ほいきた、まかせろ」


げんきなおとこのこが
ひかるつえを かざしたら、
ピカピカの いなびかり。
やのように
いなずまがとんで、
あばれんぼうたちが
うごけなくなるまで
グルグルまきにしばった。

おとこのこが さけんだ。
「セルピナさん、こいつらを
ふくろにとじこめて!」


「オッケー、クリルンくん」
あのこは うなずいた。
にじいろのイソギンチャクが
おおきなくちをあけて、
あばれんぼうたちを
つぎつぎにすいこんだ。

クラゲもエイも こわいハチも
けむりのように きえてしまった。


イソギンチャクのふくろが
やさしいひかりに つつまれて、
ただようマリンスノーへと
ゆっくり かわっていく……


「うみのそこにしずんで ねむり、
また あたらしい ゆめになるね」
と クリルンくんがいった。


「おやすみ、ゆめのかけら」
と セルピナさんがささやいた。


わたしのたからもの、
うみべでひろったガラスのかけら、
まあるくてすべすべ、なみのいろ。
そっと てのひらにのせてねむれば、
ざざぁんと しおさいがよせてきて、
すずしいめをした あのこにあえる。

あのこはいつも にじいろの
イソギンチャクにこしかけて、
リュートをかなで、
すんだこえで うたっているよ。


 ねむれ ねむれ
 どんなふかい
 なみのそこも
 てらすあかりが
 ここに
 ここにあるから

 ねむれ ねむれ
 どんなかなしい
 なみだもいやす
 ゆめのあかりが
 ここに
 ここにあるから

 くらいかげも
 こえも
 かたいきばや
 とげも
 きみをなかせる
 ものは
 ここにいないから

 ねむれ ねむれ
 きみのつめたい
 なみだをとかす
 ゆめのあかりが
 ここに
 ここに ほら
 あるよ







( 2022.1.10~2024.2.19 Twitter & あかり窓ブログより )
( イラスト作成 : 3Dペイントライブラリ & Bing Image Creator 一部に使用 )
( 音声データ song by NEUTRINO : MERROW & NAKUMO、波音 : 効果音ラボ様より )

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