今か咲くらむ山吹の花


(万葉集)

河津鳴 甘南備河尓 陰所見<而> 今香開良武 山振乃花
かはづ鳴く神奈備川に影見えて今か咲くらむ山吹の花
かはづなく かむなびかはに かげみえて いまかさくらむ やまぶきのはな
( 第8巻 1435番 厚見王 )

万葉集 第8巻 1435番歌/作者・原文・時代・歌・訳 | 万葉集ナビ (manyoshu-japan.com)


古来、山吹は鏡草と呼ばれた。
離れて暮らす恋人同士が、
互いの想いを映す鏡を持ち寄り、
埋めた場所から山吹が咲いた、
という伝承による。
面影草ともいう。
水面に影を映す山吹の花が今頃
咲いているだろうか
と問う万葉集の和歌には、
鏡草・面影草のイメージが
織り込まれているのだろう。


山のくちなし – ぶるーまーぶる (fairy-scope.com)


ざっくり文案ピピルコさん


ププルコ こーろころ
ひょうたん ポックリコ

かえるのガッコがうたいながら、
つくしんぼをゆらし、はねてきました。
あたたかくなったので、
おちばのねどこからでたのです。
「もうそろそろ、ププルコさんは
めがさめたかな?」

おがわのほとりのクワのこずえ、
ひょうたんのかたちのマユが
ぽっくりとわれ、あくびをしながら
ふしぎなおんなのこがでてきました。

「あれ?ププルコさんは
どこにいったんだろう」
「わたしよ、ガッコさん。
はねがはえて、きょうからは
ピピルコなの」
「ピピルコさん?……あ、でも
ププルコさんとおなじこえ!」

「ププルコはとべなかったけど、
これからはガッコさんとどこでも
いっしょにおさんぽできそう」
ピピルコのことばに、ガッコは
うれしくなって、ぴょんぴょん。
「レンゲをみにいこう、きっと
きれいにさいているよ」

ぴょんぴょん、ひらひら、
ガッコとピピルコがでかけてみると、
あたりいちめんうすくれないの
レンゲのはなでいっぱいです。
ピピルコはめをまるくして、
みとれるばかり……

「こんにちは、クエビコさん」
「おおガッコ、ひさしぶり。
ふゆのねむりからさめたのかい。
おや、かわいいおつれさんだ」
「このこはピピルコさん、はじめて
そらをとんできたんだよ」
「そうかい、そうかい、はるだなぁ」

かかしのクエビコは、きもちよさそうに
うたいはじめました。

ふゆになれば
しがこ(すがこ)もはって
どじょっこだの ふなっこだの
てんじょこはったと おもうべな

クエビコがいいこえでうたうので、
ガッコはけろろけろろ、
ピピルコもきれいなこえで
いっしょにうたいました。

はるになれば
しがこ(すがこ)もとけて
どじょっこだの ふなっこだの
よるがあけたと おもうべな

うたいながらピピルコは、
ナズナのみをゆすって
シャランシャランとならしました。
けろろけろろ、シャランシャラン。

なつになれば
わらしこおよぎ
どじょっこだの ふなっこだの
おにっこきたなと おもうべな

にぎやかにうたっていると、
ざわざわざわざわ、おがわがなみだち
「うるさいぞー!」
と、われがねのようなおおごえが……
グラグラとじめんがゆれて、
ヘビのようにながいひげをふるわせ、
くろいオオナマズがおどりでました。
「なにがはるだ、なつだ、おれさまは
もっとねていたいのに。
さわがしくて、たまらんわい!」

オオナマズのながいひげが、
にょろりとのびてガッコにまきつき、
ちゅうにつるしあげました。
「うるさいから、くってやるぞ」
「うわーやめろー」
「ガッコさん!」
「にげてピピルコさん……」
くるしそうなガッコのすがたに、
ピピルコはなみだをこぼしました。
「たすけて、おねがい」
シャランシャラン
かぜにほそいねいろをひびかせ、
ナズナのすずがゆれました。

「わしのてあしがじゆうになれば……」
かかしのクエビコがくやしくて
そらをみあげると、ぽつりぽとん……
あまつぶがおちてきました。
ぽつぽつ、ぽとん……
あっというまにあたりはくらくなり、
はげしいあめが
レンゲのはらにふりそそぎました。

ピカッ!
いなびかりがはしって、
おがわのそばにおちました。
ピカッ、ピカッ、ピカッ!
あばれるオオナマズをふうじるように、
いなずまのやが、つぎつぎじめんに
つきささります。
ドーン!ゴロゴロゴロ……
おおきなたいこをうちならし、
そらからカミナリがおりてきました。

「こら、オオナマズ。
ふゆのあとには、はるがくるのだ。
あばれるのはやめろ」
きびしいかおのカミナリは、
オオナマズをとじこめたいなずまを
ぬいてやりながら、いいました。
すっかりめをまわしたオオナマズは、
ながいヒゲをしょげかえらせて、
みなそこへとしずんでいきます。
「ねむいなら、ねていろよ」
まだこどものカミナリは、
ふっとわらいました。

クエビコのかげから
ガッコとピピルコがそっとかおをだし、
「たすけてくださって、ありがとう」
と、ふるえながらいいました。
カミナリのこは、
「れいなら、さっきのうたでいい」
と、にっこり。
「おいらは、ゴロリン。
おいらもいっしょにうたいたいけど、
あめがふってピカゴロしちゃうからな」
カミナリのこは、くもをよぶと、
つむじかぜにのってとびたちました。
「そらのうえでたのしくきいていたぞ、
またうたっておくれ」

あめがあがり、いちめんのレンゲが
しずくをのせて、はんなりきらきら。
「カミナリさまのおでましで、
ことしのなえも、じょうぶにそだつな」
クエビコがつぶやき、
ガッコはほっとして、ふと
くちずさみました。

ププルコ こーろころ
ひょうたん ポックリコ

なみだがかわいたピピルコも、
こえをあわせます。

ガッコは けーろけろ
いなずま ピッカリコ
ゴロリン カミナリコで
なえほの みのりはザックザク

(おや、とおくのそらで、
そっとうたうゴロリンのこえも
きこえたかもしれません……)

はるのさんぽは、まだまだこれから。



( 2024.3.24 あらすじ初稿 全文かな書き )
( 漢字については要再考 )


ピピルコさんと(思案中)


「ピピルコさんとかみなりゴロリン」

まゆからめざめたピピルコさん、
とうみんからさめたカエルのゲッコ、
かかしのクエビコ。
レンゲのはらでうたっていると、
おがわがざわざわ。
おおきなナマズがあばれて、
さあたいへん。
はるのかみなりがひびき、
ゴロリンくんがナマズをしずめ、
たすけてくれる。

という絵と短文のお話を描いてみたい。
(お話の内容は、要再考)
(歌は、どじょっこふなっこ)
(ピピルコさんの楽器はナズナの鈴)


( 2024.3.22 Twitter より )


ピピルナさん


セルピナさんの眷属で、妹分。

「ひひる」は蛾の和名で古語だという。
古代日本語は、ヒをピと発音したはず、
ゆえに蛾(蚕の成虫を含む)=ピピル?

蛾(古代日本では蝶と蛾の区別なし)を
「かわひらこ」と呼称したともいうし、
ヒヒル(ピピル)の語感もなんとなく
可愛らしいような……

海のセルピナさんに羽をつけて、
空を舞う豊穣のピピルナさん……
などと、イラストを描きつつ夢想。

(灯を持つ妖精さんのつもりが何故か
銅鐸っぽい物に変わってしまった……)
(輝く赤銅のベルを鳴らす妖精さん?)
(蛾と月の乙女……)

(銅鐸には蛙や蛇が刻まれていた例も)
(豊穣の雷神・水神=暴風雨神と
銅鐸との繋がりは?)
(ピピルナさんが鳴らす鐘で、
雷神クリルンくんが竜とともに現れる)
(カエルや案山子などが登場する夢?)
(暴れん坊の大ナマズを封印する)


羽化セルピナと灯イメージ


ざっくりスケッチブックに鉛筆描き。
人物の形も難しいけど、左右の羽が
歪んでしまう……羽だけ別に描いて、
組み合わせてみようかな?


ペイント3Dライブラリの蝶トレース、
試しに背負わせてみた。
羽の形のイメージちょっと違う、
もっとふわっとした感じがいい……
墨絵っぽくしたいな。

( 2024.3.16 )


ざっくり色をつけてみた。
もっと怪しく野生っぽくしたい……
昔々からいる妖怪とか妖精みたいに。

( 2024.3.19 )