
「おや、変なものがあるよ。」カムパネルラが、不思議そうに立ちどまって、岩から黒い細長いさきの尖ったくるみの実のようなものをひろいました。
「くるみの実だよ。そら、沢山ある。流れて来たんじゃない。岩の中に入ってるんだ。」
「大きいね、このくるみ、倍あるね。こいつはすこしもいたんでない。」
「早くあすこへ行って見よう。きっと何か掘ってるから。」
二人は、ぎざぎざの黒いくるみの実を持ちながら、またさっきの方へ近よって行きました。左手の渚には、波がやさしい稲妻のように燃えて寄せ、右手の崖には、いちめん銀や貝殻でこさえたようなすすきの穂がゆれたのです。
宮沢賢治 銀河鉄道の夜
(宮沢賢治作「銀河鉄道の夜」青空文庫より引用)
(底本:「新編 銀河鉄道の夜」新潮文庫、新潮社
1989(平成元)年6月15日発行、1994(平成6)年6月5日13刷)
この冬は、くるみを沢山頂いた。
子どもの頃、一粒のくるみを宝物にしていた。
丸くてコロコロしていて可愛い。
とても硬い殻から、どうやって芽吹くのかと
不思議でならない……

