金の実


あやかしの里の
あやかしの宿で
金の実もいで
すたこらさっさ
と逃げたらば


開かずのお座敷では
糸巻きぶぅんぶん
ほうきがざわっざわ
宝の実ぬすんだのは
だぁれだぁ?と大さわぎ


逃げても逃げても
ふかぁい森
たけのこがニョキニョキ
やせたお月さんみたいに
青白くひかって
とおせんぼ


迷っても迷っても
くらぁい野原
長虫がニョロニョロ
流れのはやい川になって
銀の波ざんぶらこ
とおせんぼ


走っても走っても
追いかけてくる
きょろりジロリ目玉たち
金の実かえせと
夜空にうずまいて
とおせんぼ


あやかしの里の
出口がどこだか
わからない
わからない……


ねむり姫は
金銀いばらの
まゆの中


若君くるまで
めざめない
めざめない……




( 2025.2.22 原詩 初稿 )
( 2025.3.1 推敲加筆 +イメージ案 )
( 2025.2.4~9.20 イラスト作成 7枚 )


ナデシコさん


露の世や
露のなでしこ
小なでしこ

(小林一茶)


はかない花の命だけれど、
りんと咲く可憐な姿は、
時をこえて詠われてきた。
優し気な撫子のイメージで、
不思議な童子の傍らにいる
小さな妖精を描きたくて、
拙い試行錯誤をあれこれ。

花の命ははかないけれど、
おとぎ話の童子や妖精なら、
時の波間を舞いつつ渡れる。
そんな想いを抱いた人は、
古代から連綿と存在したに
ちがいない……
(お盆の風習も含めて)



天のひしゃくに慈雨をねがう、
ハユラギくんとナデシコさん。


しずくの意味 – まよい宿