しずくの意味



行きは駆け足、キュウリの馬。
迎え火を目印に降りてきて、
帰りはゆっくり、ナスの牛。
送り火の煙にゆらりと乗って、
オショロイ様はあの世へ帰る。

赤く燃える炎に、ぽつり。
緑の葉からしずくを落とす、
あれは……なんの習いだろうか。
オショロイ様の訪れと旅立ちに、
供える水のしずくの意味は?

涙、それとも慈雨かしら。



ナデシコさん – まよい宿


金の実(アイデアスケッチ)


あやかしの里の
あやかしの宿で
金の実もいで
すたこらさっさ
と逃げたらば


開かずのお座敷では
糸巻きぶぅんぶん
ほうきがざわっざわ
宝の実ぬすんだのは
だぁれだぁ?と大さわぎ


逃げても逃げても
ふかぁい森
たけのこがニョキニョキ
やせたお月さんみたいに
青白くひかって
とおせんぼ


迷っても迷っても
くらぁい野原
長虫がニョロニョロ
流れのはやい川になって
銀の波ざんぶらこ
とおせんぼ


走っても走っても
追いかけてくる
きょろりジロリ目玉たち
金の実かえせと
夜空にうずまいて
とおせんぼ


あやかしの里の
出口がどこだか
わからない
わからない……


ねむり姫は
金銀いばらの
まゆの中
若君くるまで
めざめない
めざめない……



( 2025.2.22 原詩 初稿 )
( 2025.3.1 推敲加筆 +イメージ案 )
( 2025.2.4~7.13 イラスト作成 6枚 )